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宅地建物取引主任者-体験記
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依頼者は堅気? もしかして...

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やっと落ち着いて、Aさんの事やこの家について話を始める。
Aさんは53歳で飲み屋を経営している。場所は沖縄でもかなり有名なヘルス街。本人はキャバレーと言っていますが、場所的に合法的なキャバレー、スナックなどではない。裏の世界に生きる人だ。
さりげなく手元に視線を注ぐ。指はあります。しかし、へまをしない人ほど怖いとよく聞く話。
お店は朝まで開いていて、帰宅は10時頃と言うことで、50歳も過ぎると疲労と睡魔との闘いの最中、車を運転して帰るのはきつい。それで、この家を売却して、職場近くに海の見えるマンションに移りたい。
これが売却理由。住み替えとなると仲介業者にとってかなり魅力的です。頑張らなくては。

話をしている最中ずっとタバコに火がついている。消してはつけ、かなりのチェーンスモーカー。
酎ハイもなくなり、泡盛を飲み始めた。これまた、かなり強い。
泡盛は43度の菊の露。普通は1:1で水割りにしたり熱燗にして薄めて飲む。
しかし、コップに注いだ泡盛はそのまま口へと運ばれた。
私   : 「Aさんお酒強いですね。」
Aさん : 「あ〜。お酒好きでね〜。店で飲んで、帰ってからも飲むから、1升瓶がすぐ空になるよ。」
私   : 「え?一日で飲むんですか?」
Aさん : 「いやいや、店で1升なくなるんだよ。」
私   : 「...」「強いですね〜。」
Aさん : 「○○君はお酒は好き?」
私   : 「はい。好きです。でも、1升飲むのに早くて3日かかりますよ。」
Aさん : 「私は出勤前にも家で飲んで行く事があるから、運転代行で出勤する事もあるよ。」
私   : 「あははは・・・。帰りなら分かりますけどね(笑)」
Aさん : 「がははは・・・」
こんな感じで陽気に話していると、三線を取り出した。(ギクッ)
「3歳の時からやってるんだよ。」作曲もするそうです。
本格的に弾き始めると帰れなくなる。
と、思ったら9時に開店だそうです。そこそこで置いてくれました。
この、酒・タバコの飲みっぷりを見ていると、かなり体が蝕まれていそう。
目は充血し、爪は黒ずみ、腕をボリボリ掻き毟っている。
Aさん : 「この家を今年中に売って、正月はマンションで迎えたい。」
後2ヶ月しかない。
職場から遠いという他に、何か売り急ぐ理由があるのかな?
借金?近所との付合いが嫌になった?この家に住み辛い何かがある?それとも、虫の知らせ?...
不謹慎だけど、体調不良も含め色んな事が頭を駆け巡る。

私   : 「業者間のネットワークだけではなく、新聞、雑誌、インターネットで幅広く広告出しますので、正月を目標に頑張ります。」
Aさん : 「うん。お願いします。他の不動産業者にもアピールして、横の繋がりも利用してね。」
私   : 「はい。 他の業者へ仲介の依頼していますか?」
Aさん : 「2件ほど頼んでいるよ。○○開発と△△住宅。この家を買う時は△△住宅が仲介したんだよ。」
私   : 「仲介の契約をしましたか?」
Aさん : 「いや。してないよ。 全然電話も来ないなぁ。」

後に新聞、雑誌、ネットで広告や2社のサイトを調べましたが、各社共に広告活動はしていませんでした。
Aさんがいつ頃、どのように依頼したのか分かりませんが、見た目や話し振りで判断したのでしょうか、全然対応していないようです。

Aさん : 「それじゃあ、クリスマスは新しいマンションで迎えられるように、良いお客さん紹介してください。」
私   : 「え?は、はい。頑張ります...」
Aさん : 「あっ!アシバー(ヤクザ)はちょっと...」
私   : 「はい。わかってます。」(←良かったぁ。Aさんは堅気のようです。)

って、クリスマスはどこから...? Aさんは既に酔っ払っているようです。





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